<竹内>(以下T)
今回は、酒蔵取材の醍醐味!仕込みをレポートします!
よろしくお願いします!!
<酒蔵の製造担当 中島大蔵さん>(以下D)
はい。では、製造工程に従って説明していきます。
まず、仕込みの元になる酒母(しゅぼ)をつくります。
酒母をつくるためには、蒸米・米麹・水・酵母が必要です。
今回は、原料である蒸米・米麹を説明します。 |
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酒母
■日本酒を
仕込む元に
なるもの。 |
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麹
■蒸米に麹菌をまぜ、つくります。
■蒸米を糖化させます。 |
蒸米
■麹用とは別に用意します。
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酵母
■もろみを発酵させます。 |
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<D>
玄米を精米します。
70%、60%、35%など、製造銘柄により精米率を変えます。
<T>
35%!?半分以上削ってしまうんですね。
いつも食べている白米とは違い、まん丸ですね。

<D>
余分なタンパク質、脂質などを取り除くことで、
雑味の少ないおいしいお酒が出来るんです。
そして洗米し、浸漬(しんせき)という工程に進みます。
米を水に漬けるのですが、
この装置(下写真)を使い、 一度に500kg以上の米を
水に漬けるんですよ。
<T>
500kg・・・どれくらいの時間漬けるんですか?
←上部に米と水が入っています。
<D>
60%精白の米で12分〜12分30秒です。
35%精米だと9分〜9分30秒です。
水温、気温、湿度、精米してからの期間などによって
米の状態を見ながら時間を決めます。
←浸漬後の米
<T>
目を信じる・・・職人技ですね!
<D>
これには、長年の経験が必要となります。
この後、この洗米を翌日の早朝より蒸気で約55分間蒸すと
蒸米の出来上がりです。
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製麹 |
蒸米 |
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種付け |
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引込み |
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切返し |
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盛り |
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積み替 |
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仲仕事 |
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仕舞仕事 |
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出麹 |
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<D>
次は製麹(せいきく)です。
蒸米に麹菌を繁殖させたものを麹といい、
麹をつくることを製麹といいます。
うちは超醇麹(ちょうじゅんこうじ)という
独自の麹を製造しています。
前回説明したので(詳しい説明はこちら)
さらっと説明しますね。
種麹のことを「モヤシ」と言います。
うちでは「吟香」というモヤシを使っています。

<T>
こんなに少しの麹菌が、
麹室(こうじむろ)で蒸米とまぜられ、
布でくるんで保温して
大切に大切に静かにゆっくりゆっくり時間をかけて
増殖させて いくんですねぇ・・・
<D>
そうです。
数時間置きにまぜたり積み替えたり(製麹工程左記参照)
しなければいけないので仕込みの時期は緊張の連続なんです。
<T>
おや、なぜこの麹は波型に盛ってあるのですか?
<D>
38度になったら波型にします。
波型にするのは、
空気に触れる表面積を大きくし乾燥させるためです。
麹の品質が35度〜37度に上昇する温度帯で
雑味の元となる酵素が多く生成されるので、
この温度帯を早く通過させます。
また、麹を締める為に乾燥させながら48度近くまで上げます。
この麹を数粒奥歯で噛むと
栗のように甘い香りと味が 口中に広がります。
締まった麹は、 キレの良い緊張感のある酒になるわけです。

完成した麹は麹室から出し、(出麹)冷まします。
冷ます時も波型にすることで、
早く全体的にムラなく冷ますことができます。

<T>
なるほど。(出麹をしばし鑑賞)
う〜ん、なんだか栗の香ばしい香りが・・・
ここでちょっと味見をさせていただきます!
・・・おいしい!
匂いだけでなく味も栗なんですね。
これが前回教えていただいた、超醇麹なんですね。
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次回、
大きなタンクからあふれる
泡の正体は?
「季節到来!清酒製造工程
その2」に続く。 |
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